定例会レポート:埼玉・神奈川「新型ホーム柵見学」

埼玉弱問研

 2014年7月5日13時40分に渋谷駅中央改札前に集まった6名の埼玉弱問研メンバーとガイドヘルパーさん1名は、いささか混雑している東急田園都市線の急行に乗り込んで、最初の目的地、つきみ野駅に向かいました。20分も乗ると空席も出てきて、やがて各駅停車に乗り換え、14時半頃つきみ野駅に到着しました。
 早速そのホームに設置されている昇降ロープ式ホーム柵を見たり触ったりしながら、現地集合の埼玉・神奈川のメンバーとも合流。埼玉・神奈川合計13名、盲導犬3頭、ガイドさんが集合しました。ホームにおられた駅員の方に説明や注意事項などのお話を伺うことができました。
 15時前には全員でつきみ野駅を出発し、中央林間駅・湘南台駅での乗り換えを経て2つめの目的地、相鉄いずみ野線、弥生台駅に。ここで下りホームの最後部で昇降バー式のホーム柵を見学しました。
 これら2種類の新型ホーム柵は、いずれも昨年秋頃から約1年間、試験的に設置されているもので、国土交通省の補助事業として、ホーム柵メーカーに鉄道会社が協力する形で進められているようです。今、地下鉄や山手線ホームに設置されているホーム柵は、車両のドア位置が違う列車の混在に対応できない、補強工事など設置コストが高いことが問題で普及がなかなか進んでおらず、新型ではこれらの問題が解消するのではと期待されています。
 見学した2種類のホーム柵の概要や印象などを簡単にまとめます。なお、寸法その他の数値はイメージ説明のためのもので、正確な仕様ではありませんのでご了承ください。

@つきみ野駅 昇降ロープ式

 10メートル間隔の柱の間に張られたロープが上下します。列車に乗降する時以外は下がっていて、線路への転落防止になります。ロープのイメージとしてはクリーニング屋さんの針金ハンガーが近いでしょうか。ホームから数センチの高さから1.3メートル前後まで、30本近いロープが等間隔で張られています。よく見ると、ロープが上下するレールは2本あって、下半分のロープが外側、上半分のロープが内側のレールを上下するので、ホームの屋根まで2.5メートルぐらいあれば設置できることになります。
 ロープは黄色く細いので見えにくいです。ただ、ロープが張られているのは黄色い線(点字ブロック)の外側ですから、ぶつかるとすれば線路に落ちそうになった時です。ロープに触れたり数センチまで接近すると、「黄色い線までお下がりください」と音声でも警告されます。黄色い線付近から白杖をスライドして軽く触れる程度では反応しませんでしたが、混雑駅に設置すると頻繁に警告されてうるさいかもしれません。列車接近放送前は警告しなくてもいいかなとも思いました。
 列車が入線して速度が落ちると、ロープがするすると3秒ぐらいで昇がり、ドアが閉まって列車の速度が上がるとロープが降りてきます。昇降時の音は静かで、列車の音にかき消されるほどですが、チャイムや音声を流していたようです。

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写真1:つきみ野駅 ホーム柵の写真

A弥生台駅 昇降バー式

 こちらはロープではなく、バーが上下します。バーは円筒形でイメージとしては駅の階段の手すりぐらいの太さでしょうか。バーの本数は3本で、床から0.3メートルと1.3メートルとその真ん中あたりです。バーは黄色く塗られていて、視力0.01未満の私でも近づくと見えます。丈夫な柵があるという感じで安心感があるという感想もありました。ただ、足下が空いていて線路に誤って転落してしまいそうなど、隙間が大きいのでロープ式と比べると少し不安な印象を持つ人もいました。列車が到着してバーが上がるときは支柱が伸びるようです。
 バーに触れたりたたいたりすると、やはり「黄色い線の内側に」と音声で警告されますが、印象としてはこちらの方がやや鈍くて、丁度いいのではとの感想がありました。昇降時のチャイムは、こちらの方がよく聞こえました。

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写真2:弥生台駅 ホーム柵の写真

 弥生台駅見学後に、神奈川メンバーと別れました。埼玉メンバーは、相鉄本線・東横線から新宿へ向かい2次会となりました。埼玉県内からの参加者は断続的に5時間も在来線を乗り継ぐ珍しい午後となり、飲み会も盛り上がりました。
 見学した2種類の新型ホーム柵は、線路への転落や高速列車に接触してしまうといった事故を防ぐ効果が十分に期待できるものでした。従来のホーム柵のように、柵に案内表示を付けたり乗車位置が見えなくてもドア位置がわかるといったメリットはないですが、日々使っている柵のないホームにこれが設置されれば、より安心してホームを利用できそうです。利用者が1万人とか5千人の駅にも、このような柵が早く付くようになればと願います。