合理化による不便さと人的対応の必要性
ハイテクの活用や法的な整備が進み、弱視者の鉄道利用環境はハード・ソフト両面で大きな進展がみられる。しかし、これらだけでは補いきれない点も多い。そのことについて述べる。
1.便利になったこと
- ハイテクの恩恵により、音声案内とテンキー操作を頼りに、一部の切符を自動券売機で買うことができるようになった。
- 困った時に、改札や窓口の駅員の方々の対応で、駅がスムーズに利用できる。
- 駅構内の工事の時、通路に配置された警備員の方々の対応で、安心感を持って移動することができる。
2.困っていること
- 他社線や様々な種類の切符を同じ券売機で買える多機能タッチパネル式自動券売機が多く設置されるようになって、画面が見えずに自力での購入が困難となる弱視者が多くなってきている。
- 窓口のある駅が減少傾向になってきて、最寄駅で障害者手帳を利用した切符や座席指定券が購入できなくて困る。
- 窓口が開いている時間帯が短縮されており、とても利用しにくくなった。
- このような合理化が進み、定期券購入窓口では回数券が買えなくなるなど、希望の切符が購入できずに困っている弱視者が多くなっている。
- 切符の文字や、駅の表示などが見えづらい弱視者にとって、窓口の営業時間短縮は非常に痛手である。
- 特急の発車時間や席の場所をその場で職員に確認できるなど、必要な情報を得るための貴重な存在である窓口の意義を、ぜひとも知っていただきたい。
- 電車の運休などによる振替乗車券や遅延証明の受け取り場所が分からない、駅構内の工事により代替通路を安全に移動できるかが不安だと感じている弱視者が多い。
これらの声をまとめると、次の2点に集約される。
- ハイテクや機械だけでは個々の困った状態に柔軟に対応することには限界がある。かといって、人的対応にたよるだけでは現実的ではない。
- 人的対応とハイテクや機械での対応を、利用者の視点で上手に組み合わせることが、本当の意味での合理化ではないだろうか?有人改札や、窓口の利用時間短縮が見直されることを心から期待する。
レポート目次に戻る