編集後記

 このレポートは、弱視者の立場から、鉄道を利用する際の問題点を項目ごとに整理したものである。実際に鉄道を利用した実体験をもとに作成したところに大きな特徴がある。
 「できるだけ自分で移動したい」という思いでコメントを出し合ったのだが、どんなに技術が進歩しても、サービスが進歩しても、それは難しいことがわかってきた。どうしても欠かせないものがあることに、私たちは気づいたのだ。それは一緒に鉄道を利用している利用者の協力である。
 例として寄せられたコメントの一部を紹介する。「声をかけて、見えにくいことを伝えて支援してもらった」「最近スマホなどを見ていて、前を見て歩かない人が増えてしまいとても怖い。自分で見てよけることが難しいので、せめて歩行中は前を見て 歩いてほしい」「大きなターミナル駅はキャリーバッグを持った人が多くて、それがよく見えなくてこけそうになる」「知らない間に邪魔になっていたり、ベビーカーが通るのを妨げてしまっていることがある。声をかけてもらえれば、すぐによけることができるので、教えてくれる人が増えると助かる」「一部の乗客のマナー低下により歩きにくくなったりしていると感じる。鉄道関係者だけではなく、周囲の理解を得る ことも必要だと感じる」。
 同じ鉄道利用者として、お互いに声を掛け合い、協力し合って利用していきたい。安全で快適な環境は、誰にとっても心地よいものだから。
 このレポートが、より利用しやすい鉄道のための参考資料となることを願ってやまない。

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