普通救命講習会報告

芳賀 優子(はが ゆうこ)

 埼玉弱問研では(2008年)11月29日(土)の定例会で、さいたま市消防局のご協力をいただき、普通救命講習会を行いました。場所は大宮区のJACK(ジャック)大宮で、13時30分〜16時30分までご指導をいただきました。その様子をご報告いたします。当日は10名の参加者があり、埼玉の定例会としては大盛況でした。
 最初にこれからどんなことをするのかを口頭で説明していただき、その後小グループに分かれて実際の救命指導を受けました。消防局からは3名の方がお越しになり、1グループに1人ずつついてくださいました。

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写真A:3グループに分かれて指導を受けている様子

声をかけても応答がない、呼吸が確認できない人に対して、救急車が来る前に行うことを教えていただきました。
内容は、

というものでした(補足1)。
 @では、とにかく大声を出して周りの人の協力を求めることが基本だということを学びました。何もできないと思ってしまいがちですが、声をかけるだけでも立派な救命行為になるのです。それと1人で何とかしようとしないことも重要なことだと感じました。声をかけることなら私たちでも十分できることですね。(補足2
 Aでは、額を押さえてあごの骨に指を当てて気道を確保する方法を教えていただきました。この後の心臓マッサージのためにも気道確保がとても大切なことを再認識しました。このように「目を使わない方法」を随所でご指導いただけて、とても勉強になったし、自分たちもできるんだという小さな自信にもなりました。
 Bでは、心臓マッサージを人形を使って実際にやってみました。間違いなく心臓をマッサージできる方法を丁寧にご指導いただきました。私は始めうまくできなくて、胸を押してしまう始末でした。それを、肋骨を触って間違いなく心臓マッサージできるようになるまでご指導いただき、本当に大感謝です。

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写真B:人形を使い心臓の位置を確認する方法を教えていただいている様子

 Cでは、大量の出血の場合の止血方法を学びました。止血のときには、素手では感染症等の理由から危険だということで、必ず手に何かをかぶせて行うことが重要です。女性ならいつもバッグの中にありそうなスーパーやコンビニのビニール袋が役立つことを知って、目からうろこでした。
 Dでは、AEDを実際に使ってみました。これは操作方法を音声で案内してくれます。そのため、思ったよりも使い方が簡単でした。
 ここで非常に大切なことは、AEDを使えるだけでは命が救えないこと。心臓マッサージや人工呼吸の方法も学ばないと救命にはならないのです。心臓マッサージと人工呼吸がセットになって、AEDが活きるのだということも、とても勉強になりました。

 このような救命救急は何度も繰り返して練習することがとても大切なことは言うまでもありません。その点で、今回の講習では拡大(補足3)の資料をご用意いただいたり、目で見るのではなくて、ほかの四感を使って救命する方法を、ほぼマンツーマンでご指導いただき、本当に至れり尽くせりでした。また、弱視の私たちでもできることがたくさんあることを知って、とても勇気付けられました。
 最後に、この講習会のために長い時間をかけてご準備くださった、さいたま市消防局の皆様、そして小澤 勇(おざわ いさむ)さんに心から御礼申し上げます(補足4)。


補足1
止血法の説明など、このリストの順番とは違ったかも知れません。
補足2
説明を省きましたが、援助を得られたら、119番通報、AEDの手配、心臓マッサージの交代などを具体的にお願いします。
補足3
通常の講習会のテキストに加えて、要点を簡潔にまとめた資料を、22ポイント程度の大きな文字で作った資料をいただきました。希望者には同じ内容の点字版の資料をいただきました。
補足4
この講習会のレポートは、NPO ユニバーサルデザイン・ステップの活動にも掲載されています。

この記事は、「弱問研つうしん」2009年2月号の「定例会レポート 普通救命講習会報告」の内容を、執筆者および編集局の了解の基に掲載したものです。補足1〜4については、ホームページ掲載後に追記しました。