はじめに

 埼玉弱視者問題研究会(埼玉弱問研)は、弱視当事者が集まって、自分たちが抱えているいろいろな問題を出し合ったり、工夫を交換し合ったりしている。「まずは自分たちができることから、とにかくやってみよう!」というスタイルで活動している 。
 10年ほど前、「弱視者の鉄道利用での表示を中心とした課題」というレポートをまとめて、このホームページに掲載した。これは、車の運転ができない弱視者にとって、最も身近な公共交通機関である鉄道を利用する場合の利用しやすさや安全性に焦 点を当て、自分たちで実際に歩いてみてつくりあげたレポートだ。
 この10年の間に様々な制度変更や技術進歩があったし、世の中の弱視者に対する理解も変わってきた。そこでもう一度、「できるだけ自分で移動したい」という思いで、普段感じていることをコメントのかたちで出し合った。駅施設やホーム、車内で の表示や掲示、放送案内など、多岐にわたって150を超えるコメントが寄せられた。関心の高さは抜群だ。そこから見えてきたことをまとめたのが、このレポートである。
 視力が弱く、そのうえ「視野が狭い」「色が分からない」など、人それぞれに違った見え方をする弱視者にとって、健常者にとってはさほど気に止める必要がないことでも、危険だったり不便だったりすることがかなりある。逆に健常者には便利なこと が、とても不便だったりもする。
 きっと弱視者以外にも、鉄道を利用する際、危険を感じたり、不自由な思いをする人たちはたくさんいると思う。とりわけ、高齢者は、かなりの部分で共通の危険や不自由さを感じているのではないだろうか?
 障害者や高齢者が、健常者とともに鉄道を活用して積極的に社会に参加できる環境を整えるために、私たちの生の体験が参考になればとても嬉しい。そういうことを強く望んで、このレポートをつくってみた。多くの方に読んでいただければ、そして 参考にしていただければ、とても嬉しい。

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